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自作の短歌を公開します。

307 短歌集なごみ753 <歌を詠む> 

歌集なごみ753 ブログ短歌作品 7首

短集集なごみ753 ブログ短歌作品
0307 <歌を詠む /  Das Tanka-Gedichtschreiben>

1560-0403 060417 060417
言の葉の花咲く園に迷い込み あれこれ摘むも夢と知る朝

1447-0312
よどみなく湧く言の葉さらさらと 和紙に書き込む至福の初夢
1172-0303
長き夜の深き眠りの目覚めれば 夢見し言の葉早も忘れて


0850-0202
言の葉を求めて夢路旅まくら 目覚めて消えぬ春の夜の夢
0569-0106
眠れぬ夜は詠みし短歌のまとまれど 目覚めて朝は早も忘れて


0251-3010 
歌詠めば流れる歌詞よどみなく 君は作りし吾が歌に似せて
0204-3009 朝日新聞東海歌壇 
おちこちに探し求めん言の葉を 字余り字足らず繰り返しつつ

 

 

306 短集集なごみ753 <生活・情景・景色> 

短歌集なごみ753 ブログ短歌作品

短歌集なごみ753 ブログ短歌作品
306 <生活・
情景・景色 / Alltagsleben, -szenen und Landschaft>

2102-0509 蒼原 060321
食卓に木洩れ日射してきらきらと スプーンの返す光り眩しき
1817-0411

ふる里に吹く風の音懐かしく暮らす人のみぞ知る色と匂い

1319-0308
ひとむらの小さき花の野辺にあり手折りてさ挿しぬ一輪挿しに
1307-0303
待ち待ちし雨の降り来て木も花も息吹きもどりぬ日照庭に庭に

1284-0307 朝日新聞東海歌壇 
目覚めれば朝かと思ひ聞こゆるは終電の音眠れぬ夜続く
1027-0209 真清田神社 

終電の鉄橋を渡る音さやか眠れぬ夜の夢路は遠く

1018-0209
民家にて一服の茶を賜るひとときの心和みぬ津島の町にて
0981-0207
密と密求めて集う人の群れ暖簾くぐれば馴染みの顔が

0883-0203
コーヒーの香り柔らかくたゆたひぬ二人を包む雨の日の午後
0872-0203
珈琲とチョコの香りがゆっくりと二人を包む午後のひととき

0813-3101
「まだ飲むの」妻に言われてしぶしぶと今が引き際ほろ酔い気分
0796-0308 蒼原 
風もなくはらりと落ちし山茶花の白き花片の消えぬ可憐さよ



 

 

305 短歌集なごみ753 ≪人生≫ 八十路

短歌集なごみ753 ブログ短歌作品 17首

短歌集なごみ753 ブログ短歌作品
305 <人生 / Das Leben> 

2268-0603 060318
風に乗る諷軽(ふうぎん)聞こゆ僧侶らの 一糸乱れぬ声美しき
2269-0603 060318
読経の声風に運ばれ僧侶らの 一糸乱れぬ諷経(ふぎん)うつくし

1992-0506 蒼原 
「八十(やそぢ)」と書く傘寿の日気づく 躊躇いと戸惑いに筆止まる一瞬
1982-0504
筆を持つ手に躊躇(ためら)いが初めて 八十(やそ)と記す傘寿の日


1976-0605 蒼原 
主亡き畑に育つ野菜見て 喜びあれど寂しき安堵
1936-0503 蒼原 

傘寿の日初めて八十と記載する あらためて知る早過ぎし過去


1946-0503
主亡き畑に育つは草ばかり顔見知りの ひと一人づついなくなる
1943-0503 蒼原 
畑で会うひと一人づづいなくなる 蔓延(はびこ)る草にも寂しさ漂う


1851-0412 蒼原 

傘寿の日余生一番若き日と 言われ嬉しさ寂しさ半々
1797-0411
青春の「十七歳は一度だけ」 迎える傘寿も一度あるのみ

1608-0405 蒼原 
名知らぬも顔知らぬ人の来なくなる 朝の散歩はちょつと寂しい
0619-0108 三岸節子記念美術館短歌ポスト 
無造作は再現できぬ至上なり それとも単に偶然なりや


1010-0208 三岸節子記念美術館短歌ポスト 
絵の君に何が見えるかと吾問へば 汝(な)が行く道と優しく答ふ

0479-0103
生終へて黄泉に赴く吾ひとり 随(したが)ひ行くは善悪の業のみ
0447-0103
吟醸の仄かな香りに魅せられて 友と語らひ時を忘れて

0009-2912
いつの世も時の流れは変わらねど 過ぎ行く速さにため息ばかり
0006-2911
ふるさとの山に向かひて声出せば 返るこだまはお帰りと言ふ

2302-0604 060426
友と飲み遠き記憶が蘇る 八十路を経たる証しとなりぬ

 

 

 




 

 

 

 

 

 

 

304 短歌集なごみ753 <家族>

短歌集なごみ753 ブログ短歌作品 11首

短歌集なごみ753 ブログ短歌作品
304 <家族 / Meine Familie>

1881-0501 中日新聞中日歌壇 
親から子子から孫へと語り継ぐ 問わず語りは家族の証し
1829-0412 真澄短歌会 
花ふぶき戯れし娘も母となり 子らと楽しむ同じ木の下


1630-0406
父母住みし深山の寺を訪ぬれば 谷より吹く風門吹き抜ける
1497-0401 中日新聞中日歌壇 
眠る児の足に顔載せすやすやと 子猫も眠る冬の日だまり


1435-0312
持てるだけ持てとおふくろ新米を渡す 手の深き皺じっと見る
1418-0311
うながされ母の棺(ひつぎ)の横により 下火(あこ)に立ち会う吾子(あこ)まだ五歳


1380-0310
見るだけとつぶやく妻の指先は 回転寿司のケーキの画面
0655-3009
泣きわめき面(おもて)上げればにっこりと 顔幼ながらに二つの演技

0458-0103
目の前でケーキ二つ切り分ける パパのが大きいとつぶやく子の目
0010-2912
ドライブに早く行こうと急く「はな」は 宥めるママに抱っこのおねだり
 (「はな」は、ペットのコーギー犬の名前)


0007-3003
父親の残せし本を処分する 空いた書棚の奥まで夕日

二代目《はな》コーギー /Zweite hannah, Corgi

三代目《はな》マルチーズ Dritte hannah, Malteser

 

 

 

 

302 短歌集なごみ753 <ひとを想ふ> 面影

短歌集なごみ753 ブログ短歌作品 14首

                萩(マメ科)の花
短歌集なごみ753 ブログ短歌作品
302<ひとを想ふ / Eingedenk erster Liebe>
 

1943-0503
 真澄短歌会入選  
ぬばたまの月夜の海に石投げる 面影に立つ君を忘れむと

1608-0405
名知らぬも顔知る人の来なくなる 朝の散歩は少しさびしい
1576-0404
店先にトマトがひとつ寂しそう 人待ち貌して通り見つめる

1161-0303
ペアカップひとつ残され棚の隅 わが行く末を見るかのごとく
1058-0303
はかなくも桜の下の初恋は 花よりほかに知る人はなし

1001-0202
終電のドア閉まりて君は去る 気づけば闇にひとり立つ吾
0887-0203 三岸節子記念美術館短歌ポスト 
近寄りて惹かれるように君を見る 時空を超えて楽しむ刹那

0875-0203
見送りの余韻たゆたふホーム端 寂しさにふと襲われし吾
0847-0202
君の手に触れ終わりし初恋の はかなく散りぬさくらのごとく

0800-0201
透き通る雪の青さが目に沁みる 冷たき朝に君失せたまふ
0797-0301
面影に似るひと見るもその人で なきこと願ふ秋の夕暮れ

0552-0105
店先に人待ち顔のとまとひとつ ぽつんと置かれ退屈そうね
0213-3009 朝日新聞東海歌壇 
霧の朝君が手に触れ温かく気持ち ほかほか体ぽかぽか

0038-3004
散り急ぐさくらの花は美しく 君との別れ花に重ねん

 

 

 

303 短歌集なごみ753 <ドイツ> トライスベルク

短歌集なごみ753 ブログ短歌作品 13首

        ヘッセン州シュミッテン地方にある村トライスベルク

短歌集なごみ753 ブログ短歌作品

303<ドイツ/Deutschland>

2007-0506
中世の面影残る石畳み 小雨にけぶるローテンブルク
1844-0412 中日新聞中日歌壇 
アルプスの少女ハイディをハイジとふ 名に呼び変えた訳者の裏技

1776-0410
こっそりと包んでくれた赤ワイン 粋な計らいのルフトハンザ CA
1730-0408
なつかしきフランクフルトの空港の 香水葉巻入り混じる匂い

1699-0407 
可憐さを余すことなく漂わすアルプスの 少女ハイジと言う名の響き

1691-0407
可憐さに心惹かれるアルプスの 少女ハイジと呼ぶ名の響き
1677-0406
珈琲とチョコの香はおる湿り気が しっとりと肌にドイツ空港

1064-0409
クレーンもツリーを下げるクリスマス ドイツの町の建設現場
1033-0210
闇に浮く中世の古城凄艶に 息を呑み込みタイムスリップ


0915-0204
七月に秋の気配を肌に知る 木の葉ざわつくミュンヘンの夏
0812-0101
中世の不気味さ迫る石畳み 深夜ひとりのローテンブルク


0248-3010
ドイツとの別れを惜しみ飲むビール 機体着陸二時間前
0247-3010
着陸の二時間前にビール飲む 「朝から飲むの」と CA は訊きおり

 

ヘッセン州シュミッテン地方にある村トライスベルク。海抜550M、雲海が見える。

301 短歌集なごみ753 <さくら咲く、さくら散る> さくら

短歌集なごみ753 ブログ短歌作品  14首


短歌集なごみ753 ブログ短歌作品
301 <さくら咲く、さくら散る / Kirschen bluehen, Kirschen fallen>

2278-0603 朝日新聞東海歌壇 060411
さくら咲き散りゆくまでのときわずか 逢うも別れ樹の下樹の下
2176-0513 蒼原 060417

さくら散る残るさくらも散るさくら さくら散り行くほどにさびしさ募る

1143-0301
咲くさくら散りゆくさくら風情あり 歌に詠まれてなお増す風情
1126-0301
さくらばな歌に詠まれて増す風情 咲くもうつくし散るもうつくし


1077-0721 蒼原
美しく咲きしもなぜに散りいそぐ 露の世に咲く花と思へば
1058-0211
短くも桜の下の初恋は 花よりほかに知る人ぞなき


0898-0208
風に乗り散りゆく桜うら寂し 季節の移ろひ心に沁みる
0837-0202
盛り過ぎ柔き風にも散る花の はらはら落つる春の夕暮れ


0679-0109
はらはらと散りゆくさまのはかなさの 身に沁む桜こそ美しき
0436-0103
風そよぎ桜散り敷く参道を 歩むもはばかる振り返りつつ

0348-0101
冬枯れの落ち葉積もる里山に さくら咲く日をひたすら待ちなむ
0322-3002 三岸節子記念美術館 短歌ポスト  
乱舞する桜の花に魅せられて 吾も樹の下時空を越えて

0020-2901

春山に浮きたるごとく咲く桜 そよ吹く風に散るを堪(こら)える
0009-2908
美しく咲きしもなぜに散りいそぐ 花に出逢いと別れ重ねん